FC2ブログ

1首鑑賞361/365

寝すごしてはならずアラームを設定す胸ポケットに振動のみの
   真中朋久「草紅葉」

     *

角川「短歌」2020年1月号より。

連作によると、電車移動の場面である。眠っているあいだに降りるべき駅を通り過ぎないよう、「アラームを設定す」る。しかし音を出すわけにもいかないので、「振動のみ」の設定とするのだ。

この設定がなかなか緊張する。慣れた機器、慣れた設定ならいいのだが、音が出ないようにしたつもりでも、設定がうまくいっておらず、うっかり音を鳴らしてしまうことがある。あわてて起きて、変な汗をかく。似たようなことで、むかし剣道の試合会場でフラッシュの設定がオンのまま写真を撮ってしまって、試合を止めたことがある。再起動した際に設定が戻っていたとのこと。おるにおられず、足早に体育館を出たのだった。

掲出のうたでは「胸ポケットに」「振動のみの」が状況をよく想像させる。ズボンのポケットよりも、胸ポケットのほうがアラームに気づきそうである。音が出せないところでの、ささやかな工夫に臨場感がある。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR