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1首鑑賞359/365

春も近き夜更の雨に人間のごとき咳して犬とほざかる
   佐藤秀『冬川』

     *

人間以外の「咳」というものを聞いたことがないので、ふしぎにおもいながら読んだ一首。人間の「ごとく」ではなく「ごとき」であるから、やはりまず「犬の咳」というものがあって、それが「人間の咳」と似ていた、ということであろう。別ものだが、「人面犬」のことを思い出す。「人間のごとき顔」した犬のこと。

「春も近き」「夜更」「雨」というこまかな状況説明が、「人間のごとき咳」をあやしくも補強している。「とほざかる」犬を目で追いながら、「人間のごとき咳」というものをしばし反芻する。ゆめかうつつか。奇妙な存在感のある一首だ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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