FC2ブログ

1首鑑賞358/365

すれちがいきってないけどトンネルへ新幹線が入っちゃぅ  
   長友重樹「一字あけを一字として数えること」

     *

「九大短歌」第九号より。

列車と列車がすれちがう場面である。新幹線と在来線が並走するような区間も(駅の近くなど)あるにはあるのかなあ、とおもうけれど、新幹線同士のほうがよりシーンとしては多いような気がする。線路が別なので。しかしあらためて「新幹線が」と言われると、こっち(自分が乗っている方)はそうじゃないのかなあ、という気もしてくる。

ともかく、列車と列車がすれちがう。それが、すれちがいきらないうちにトンネルにさしかかる。すれちがうときの特有の音や震えが続いたまま、トンネルに突入するわけだ。だからといってどうということはない。それなのに「入っちゃぅ  」(ぅは小字、のち二字あけ)と言われてみると、何かいけないことが起こっているような、残念なこと、あるいは惜しまれるようなことが起こっているような気持ちになってくる。すれちがい終りの快、というようなものがあるのかなあ。トンネルですれちがうときの不快、ということも想像してみる。表記のとおりの消えいるような声が聞こえてきてわらってしまった一首。残念は、声にならないところにこもるのだろう。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR