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1首鑑賞353/365

成りし歌ものに書きつけ読みかへしよしとし思ふ時のたのしさ
   窪田空穂『鏡葉』

     *

短歌日記をつけているつごう、出勤の道、休憩のさなか、また食事のとき(あるいは仕事中)、とにかくうたのことを考えている。その場で書きとめるものがないときには、口のなか、頭のなかを転がしながら1首に成らないものかと思案する。おおこれは、とおもったうたでも、いざ書きとめてみるといかにも駄目なものだとわかることも少なくない。そうすると、「書きつけ」てみ、さらに「読みかへし」てみ、これは「よし」とおもえるときには、やはり爽快である。こころが通るようなここちがする。「〜スル時のたのしさ」というのはある種の定型だが、「成る」「書きつける」「読みかへす」「思ふ」という動詞をたどりながら、決着する心地よさがある。「たのしさ」という直截の表現にも頷くのである。


※歌の引用は、大岡信編『窪田空穂歌集』(岩波書店、2000)によります。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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