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1首鑑賞342/365

ストーブにイモッ子のせて老い夫と遊びのごとく焼きいもをする
   野中ヨシ子『夕あかり』

     *

三四年前までは職場に大きなストーブがあって、そこで湯をわかしたりおでんを作ったりしていた。湯気というのを見ているのは、なにとなくたのしい。芋は焼いたかどうか。一人暮らしをはじめるまでは、住んでいるところにもストーブがあって、稀にだが餅を焼いたりなんだりしていた記憶がある。焼きいもはもっぱら、たき火のなかに芋をつっこんで、ということだったと思う。

このうたの大事なところは「遊びのごとく」である。「焼きいもをする」と言っても本式のそれでなければ、食事のためのそれでもない。なんとなく、「イモッ子」でものせて、というふうなのだ。いかにもおだやかで、それだけのことがたのしい、というような豊かな時間が感じられる。あるいは遥かとおい日の、ままごと遊びが思い出されてくる。時間ということをおもう一首である。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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