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1首鑑賞341/365

あくびして涙目にみる青空に雲の寝釈迦がしろくかがよふ
   桑原正紀『秋夜吟』

     *

子どものころから寝釈迦が好きで、なんとなく見入ってしまう。育ったのは島原で、江東寺にコンクリート製の涅槃像がある。墓地の高台に横たわるこの姿を、なにするでなく眺める。こころやすらぐひとときがある。

いま福岡に住んでいて、何年も前に南蔵院の涅槃像を見に吟行へ出かけたことがある。こちらはブロンズ製で、そのなめらかな質感がやはり心をとらえる。それから阿蘇山。山の連なりが寝釈迦のように見えるということで、あんまり納得はしていないが、おだやかな姿には共通のものがある。

掲出歌は「雲の寝釈迦」。山の連なりよりももっと淡く、そしていっときの姿である。「あくびして涙目」というおだやかな時間、空間に、「雲の寝釈迦」がおのずからとけこんで印象深い。結句「しろくかがよふ」が、その姿をながくとどめようとしてにじむような、じわじわとした感覚を読者にあたえている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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