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1首鑑賞335/365

考えを翻すとき本物の風がきて前髪を分けていく
   相田奈緒

     *

「ねむらない樹」vol.3(2019年8月)より。

考えを翻す、というのは、まさに旗を翻すようなイメージで、考えをひっくり返す、変える、ということだ。風が吹けば旗が翻るが、「考えを翻す」というとき、そこに風はない。「考えを翻す」は、いってみれば比喩だ。けれどもそこで、「本物の」風が吹く。比喩でない風。「考えを翻す」における風-的な何かではなく、じっさいの風だ。それが「前髪を分けていく」。考えを翻す、ということと、それによって空間や場面がばさっと変わってしまう、という奇妙な連関がある。句跨りの「かぜがきてまえが/みをわけていく」には、その一瞬をとらえるような心地よさがある。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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