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1首鑑賞329/365

昨晩の土砂降りを思い出しながら変なきのこを傘でいじめる
   石井大成「春のマリオ」角川「短歌」2019.11

     *

傘の先で「変なきのこ」をつついている。「変な」とはずいぶんアバウトな形容だが、眼前の「きのこ」を説明するのに充分な語彙を持ち合わせていないことがすでに「変」を補強している。その「きのこ」をなんだろうこれ、変だな、くらいの気持ちでつんつん突く。なんでもない遊びだ。それでだんだん意識が傘の方にいったり、路面の感じとかきのこの柔らかさとかの方にいったりしながら、「昨晩の土砂降り」へと至る。ひどかったな、昨日。と、なんとなく思い出す。じっさいに雨には打たれていないかもしれない。そのほうが、打たれたはずの「変なきのこ」との距離がうまれて良い。「変」や「いじめる」には、他者との距離感のことがちらつく。「土砂降り」に打たれた「変な」きのこをさらに、圧倒的に優位なところから「いじめる」。ほのかな優越感がたちあがる一首だ。

(この連作にはゲーム「スーパーマリオブラザーズ」の世界観がうっすら流れていて、「きのこ」は、食べたら体が大きくなるアイテムのアレをおもわせる)
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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