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1首鑑賞328/365

給料でサングラス買う子の話ていねいにていねいに聞いてやらねば
   佐伯裕子「何という悲しい笑い」「短歌研究」2019.10

     *

この「子」を読むにあたっては、かつて引きこもりだった、そしていま郵便配達の仕事をはじめた息子、という文脈をとりこんでおきたい。佐伯さんのここのところのひとつのモチーフになっている。

「給料でサングラス買う」話を、だから、そんなこと、と言っていなさずに「聞いてやらねば」とおもうのである。働いて給料を得ることも、その給料で欲しいものを買うことも、当たり前ではない。サングラスなんてどうでもいいじゃないか、とやってはいけないのだ。しかし、そうはわかっていても、ついつい相づちが雑になるというか、そんな子どもみたいなことを……と言いたくなる気持ちも、一方で抑えがたくある。「ていねいにていねいに」というリフレインは、そんな自分への呪文でもある。ものがなしい一首だ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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