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1首鑑賞327/365

朝焼けがしだいに色彩を生み出して高層ビルの峡谷ひらく
   佐伯裕子「何という悲しい笑い」「短歌研究」2019.10

     *

都市詠というものがあるとして、佐伯さんは積極的に都市詠をやっているという印象がある。この「高層ビルの峡谷」という視線には、日頃からビルの林立のなかに身を置き、それを今朝、すこし離れたところから総体として眺めているような感触がある。ビルとの心的距離が近いからこその表現だろう。

朝焼けの光景だ。時間変化とともに朝焼けが多彩な色を帯びてくる、またそれに照らされたものたちがさまざまな色彩の姿を見せてくる。それを「朝焼けがしだいに色彩を生み出して」と言っていかにも躍動感あふれる。やがて、高層ビルの峡谷があらわになる。ここでも「ひらく」という動詞が、胸襟をひらくような、あるいは何か土地を開拓していくようなダイナミズムをおもわせる。都市の生々しい光景がひらかれている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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