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1首鑑賞321/365

カートリッジを替えたみたいに金髪がきれいになっている朝の人
   永井祐「サーティーワンや横浜のこと」

     *

『歌壇』2019年12月号より。金髪の人の、髪がのびるにしたがって、金の部分と黒の部分とが分かれてくる。それがある朝すっかりきれいになっていた。その「きれい」の感じを「カートリッジ替えたみたいに」と言う。プリンタの、インクカートリッジを想像する。プリントの具合がよくなかったのが、新しいのに替えるとあきらかに改善する。鮮明になる。デジタルの感じも、色を移すという内容も、ごく近い。

連作のなかには

これから深夜バスに4時間乗る人と並んで見てる外のひろがり
0時に降っている雪 iPhoneは片手でちょっと重いのだった

といううたがあって、こちらもそれぞれ「ひろがり」や「重い」が相対化されている。深夜バスの中の窮屈から見る外のひろがり。0時に降っている雪を、撮ろうとしてかツイッターでつぶやこうとしてか握るiPhone。そうして手に感じる重さ。いずれのうたも、比喩ではないのに、比喩のように「ひろがり」や「重い」の感じを伝えてくる。

掲出歌は「みたいに」を使って直喩のうた。体感とはちがうところで相対化された冴えのようなものが、別に引いた二首と雰囲気のちがいを生んでいるようにおもう。「朝の人」という結句にも注意した。


※引用の英数字「4」「0」「iPhone」の全角・半角は、正確に反映されていないおそれがあります。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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