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1首鑑賞311/365

なにがなしさびしくしだいに切にさびし北杜夫この世になしとおもへば
   花山多佳子『鳥影』

     *

北杜夫がもうこの世にいないということが、なんとなくさびしい。さびしいとおもっていろいろ思い出す。読んだもの、聞いたこと、話したこと。いよいよこの世にいないということが、しだいにわかってくる。それがどういうことなのか、わが身にとっていかなるものなのか、よくわかってくる。わかってきてますますさびしい。さびしい、に呑み込まれる。

「切にさびし」の前の助走のようなさびしさをおもう。おもうから、「切にさびし」の「切に」がよくわかる。なにがなし、さびし、なしの終止形が、さっぱりとして一首をなめらかに読み通させつつ切ないうただ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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