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1首鑑賞307/365

母いますごとくに庭に梅咲けり死は遠ざかり死者近づき来
   伊藤一彦『光の庭』

     *

二月二十一日(火)、母一周忌の折のうた。庭に梅の花が咲いてどことなく母の気配がする。死のその日から一年が経ち、「死」そのものからは遠ざかりつつある。あるいはそれを「死」としてとらえることが少なくなった、ということなのかもしれない。その分、というべきか、母の存在はもっと近くにあるようだ。「死者近づき来」という結句には、畏れのような気持ちが入り混じりつつ、梅の花のごとくわが側にあり、また梅の香のごとくわれにまつわる母の存在を、しずかによろこぶ気持ちがあらわれている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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