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1首鑑賞306/365

代休のうしろめたさが帰り際の羽田にかろき菓子を買わせて
   鯨井可菜子「おくら納豆

     *

出張でどこかへ出かけ、場面はその帰りの羽田空港だ。今日仕事をしたかわりに、別の日に休む。その代休がなんとなくうしろめたい。出張で仕事とは言え私的な楽しみもあったとか、職場にいないことには変わりなく、そのうえ代休でまた職場にいられないのは気が引けるとか、事情はいろいろ思い浮かぶ。いや、そもそも今日が代休のその日で、代休とって遊びに来ているのかもしれない。ふつうの休日ではないときに職場を空けるわけだから、「代休のうしろめたさ」というのも頷ける。

事情はともかく、帰りの飛行機を待ちながら「かろき菓子」を買うのである。「かろき」がいかにもちょうどいい。何も買わないのでもなく、しっかりしたお土産を買うのでもない。気をつかわせすぎもせず、気がきかなさすぎるのでもない、「かろき菓子」なのだ。能動的に買った、というよりも「後ろめたさが買わせた」というのも、心情に沿うとおもう。気にかけてはいるが、気疲れするほどでもない、わりあいかろやかなな気分が一首にこもっている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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