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1首鑑賞305/365

手を出して花を撫でてる男の子 あごの後ろをさわるみたいに
   永井祐「ハリボー

     *

だれかのあごの後ろ(うらがわ)をさわる(さする、かく)ことはほとんどないが、思い返せばまったくないわけでもなく、また、そういう仕草をひとがしているのを見たこともある。それをたよりに、想像する。自分のあごを、自分でさわるのとはちがう姿勢、手のつかい方、あるいはその場の雰囲気、そのひととの関係性がある。猫を撫でる、に近いのかなあ。ともかくそういう感じで、「花を撫でてる男の子」がいる。なんでもない手つきだが、空間としては緊張感がある。

もういちど読んで、「手を出して」に立ち止まる。花に向かって手をのばして(体より前に出して)、ということだろう。たまたま花に触れたのではなく、わざわざ花へ触れにいっているのだ。さするでも、かくでもなくて、「撫でる」。じっと見てしまいそうな光景だ。ことばのこまかな使い方に、なんどもディテールを修正されるようにして読んだ。「じっと見る」を追体験するみたいに。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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