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1首鑑賞302/365

ローソンのおにぎりの棚がからっぽでなんだか午後を笑って過ごす
   森本直樹「眩暈」

     *

昼時を過ぎて二時三時のころか、たしかにおにぎりの棚がからっぽということがある。比喩でなく何もない。ちょうど売れてしまって次の補充までのひととき、ということだろう。わらってしまうくらい何もないのだ。弁当もない、サンドイッチもない、麺類もない、みたいな一瞬に出くわすことも、ときどきある。そうなってくると買いたいものがないとか、かわりを買うにもなにもないとか、そういうことへの不満はむしろ湧かず、よくわからないかすかな笑いがおこる。笑うしかない。

で、そこまではよくあることだとして、「なんだか午後を笑って過ごす」という波及がこのうたのおもしろさだとおもう。そこでへらへらしたことで、なんだかよくわからないが午後ずっと笑っているな、という感覚。あるなあ、あるとおもう。おにぎりの棚がからっぽで笑った、とは言わずに、そのあとの変化のほうをさりげなくうたっている。体感のとどく一首だ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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