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1首鑑賞301/365

手を繋ぎたくて嬉しい川沿いのまたすぐにでも会いたい人と
   森本直樹(「未来」2018.10月号)

     *

川に沿ってふたりで歩いている。となりにいるのは「またすぐにでも会いたい」人。手を繋ぎたい、という気持ちがわきおこって、そのことが嬉しい。手を繋いで嬉しい、とはちがう。「手を繋ぎたい」「会いたい」とおもえること、そうおもわせる人がとなりにいることが嬉しいのだ。なつかしいような感触がある。

手を繋ぎたくて嬉しい、という二句切れが、「川沿いの」という引きの視点をひきたてる。もういちど初句を言うような「川沿いの」、第三句である。枕詞のように、唐突でいて、かつ、あわい。ひといき入ってそこから、「またすぐにでも会いたい人」とうたいおこされていく。「川沿いを」でも「川沿いに」でもこうはならないだろう。「手を繋ぎたくてうれしい」という直情をはなれて、もういちど、語り直されるのだ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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