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1首鑑賞300/365

水仙の花を持ち来て先の日のすくなき花にさしそへにけり
   菊池剣『道芝』

     *

詞書に「墓参」とある。墓参りの一場面なのだ。すでにそなえてある花がだいぶしなびてきた。そこへ、新しい花をさしそえる。水仙の花である。「先の日のすくなき」「さしそへにけり」にやさしい息づかい、心づかいがある。やがて朽ちてしまう、あるいは枯れ果ててしまうその花はそのままに、そこへ新しい花を添える。さっぱりきれいにしてしまうのではなく、あとすこしのこる命を惜しみ、大切にするこころざしがある。まだ新しい水仙の花が、先のすくない花にも生気を添えるような、味わい深い一首である。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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