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1首鑑賞297/365

草原の水の匂いに濡れているリュックサックを抱えて眠る
   森本直樹(「未来」2017.12月号)

     *

草原でおろしたときに、湿ってしまったのだろう。リュックサックが濡れて、草の匂い、水の匂いをおびている。それを上の句のように言う。とくに「水の匂いに濡れている」に立ち止まった。この「に」は付帯状況をあらわす助詞だろう。「〜をともなって」くらいの意で、草原の水の匂いをともなって濡れているリュックサック、と読んだ。

帰りの電車で、リュックサックを抱えてうずくまっている姿を想像する。いちにち疲れて、眠っているのだ。なまぐさいような水の匂いもかまわず眠る。過去の時間と、現在の時間とがとけあうような感触がある。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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