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1首鑑賞296/365

ネクタイを解くのが下手はつなつの風はぶらんこへと吹いている
   森本直樹(「未来」2016.9月号)

     *

前回にひきつづき、ネクタイのうた。ふだんネクタイをしめるような生活をしていないので、その分、目に留まる。

ネクタイは「しめる」「ゆるめる」あるいは「ほどく」という動作とともに語られることが多い。「しめる」のが下手、だとただの初心者だが、「解く」のが下手、となるといくぶん違ってくる。じっさい解くのに手こずっているのだろうが、どこかメタファーの感じをおもわせる。力の抜き方がわからずに、なんにでも正面からぶつかってしまう……そんな青年の姿が見えてくる。「はつなつの風」を浴びている。浴びていることを、「ぶらんこ」の揺れによって認めている。それくらい、身体がかたくなっている。感じる力がよわくなっている。自分にも吹いているはずの「はつなつの風」を、どこか他人事のように眺めている。「下手」とわかっていて、どうしていいのかわからないのだ。ただいっときの風が、やさしく吹いている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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