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1首鑑賞294/365

ヤクルトでおうちを作りかけていた夕焼けせまる畳の部屋に
   東直子「皿の上の水を照らす

     *

ヤクルトを飲む家には、ヤクルトの空き容器がある。それをいくつか積み重ねて、たとえば「おうち」を作ることもできるだろう。「おうち」という言い方にある幼さが、懐古のような心持ちを引き出す。どうして「おうち」を作ろうとしたのか、思い返してみてずいぶん不気味である。作りかけていた、であるから、完成を見なかったのだろう。それも余計に不気味である。「夕焼けせまる」の「せまる」が怖い。もし、あのとき「おうち」を完成させてしまっていたら……。なにが起こるというわけでもないのだろうが、フラッシュバックのごとく蘇るのだ。昼の陽のひかりがおちて赤黒く染まりつつある畳の部屋が。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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