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1首鑑賞287/365

ごくかすかなる濃淡におし黙る曇天よこれはひるがおのにおい
   内山晶太「黄菊

     *

はじめ読んだとき、「ごくかすかなる」を一息に読んでしまい、あれ、まだ初句おわらない? とおもって「濃淡に」以下を息を継がずに読んでそれでも初句が終わらなかった。結果、「ごくかすかなる濃淡におし黙る曇天よ」を長大な初句と読み、つづく二句三句が欠落、「これはひるがおのにおい」が四句で、結句が欠落、というふうな読み方をしてしまった。

ごくかすか/なる濃淡に/おし黙る/曇天よこれは/ひるがおのにおい

と、じっさいには読むのだろう。ごくかすか、で目線があがったあと、なる濃淡に、おし黙る、と、うねうねした口調が曇天を導く。曇天ののっぺらぼうとまではいかず、かすかに光や雲の広がり方に濃い・淡いのある状態だ。「おし黙る」がいかにも曇天らしい。そういう曇天のもとに、わたしが嗅ぎ当てるのは「ひるがおのにおい」である。身に覚えのある体感の、「これは」とその源泉にいきあたったこれもかすかな感慨が一首のなかにこもっている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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