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1首鑑賞285/365

雨 わたしはわたしの言葉をへらしたい。ただ濡れてゐるひるがほの前で
   大口玲子『ザベリオ』

     *

言葉を発することなく「ただ濡れてゐるひるがほの前で」、「わたしはわたしの言葉をへらしたい」とおもう。「言葉」を持つこと、「言葉」を使えるということの先に、「言葉」を持ってしまったこと、つい「言葉」を使ってしまうこと、「言葉」を使わざるをえないこと、「言葉」だけでどうにかしてしまいそうになることを、沈黙のひるがおの前で、わたしは自省する。「言葉」にすることで認識がうまれる。「言葉」にすることで感情がうまれる。ただ黙っていれば、その状況があるだけで、その状況に身をひたしているだけでいることもできるはずなのに、「言葉」にしてしまう。むろん、まったく「言葉」を使わないわけにもいかない。けれどもこんなとき、わたしはもっと黙っているだけでもいいんじゃないか。「言葉」がはりついてはりついてうっとうしい。しかし大事なとき、「言葉」が必要なときに黙っているのはちがう。でも今はそうじゃない。雨のなかに見た「ただ」、そして「へらしたい」が身体感覚とともに伝わってくる。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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