FC2ブログ

1首鑑賞283/365

声をかけて欲しいときにはマスクする部下ありてまた誘う焼肉
   大井学「マスク」

     *

「歌壇」2019.5月号より。仕事のことでくたびれているとか、そろそろ話したいとおもっているとか、今日は空いているので、とか。理由はいろいろあるのだろうが、合図のごとくマスクをする。それをわたしも受け取って、焼肉に誘う。「また」とあるので一度や二度ではない。部下と上司のふしぎな関係だ。それでもあくまで声をかけるのは上司。行きたいときには言って、と言われていたとして部下からは言い出しづらい。それで決まった合図を使うことにしたのか。マスク、というのが絶妙だ。いま、マスクすなわち風邪とおもうひとは少ない。さまざまな理由でマスクをする。だからマスクは目立たない。けれどひと目でわかる。ちょうどいいのだ。しかし「部下ありて」という言い方には、ふたりで決めた、というよりもそういう部下の習性を見抜いている上司の眼差しのほうを感じる。口つながりで焼肉か、なんだかたのしそうだ。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR