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1首鑑賞279/365

ままごとのようだね夕餉紙の皿紙の器を畳に広ぐ
   上野春子『雲の行方』

     *

熊本地震の折の一首。「ままごとのようだね」というやわらかいタッチは歌集全体の特徴でもあるが、ここではとくに、被災のなかの生活の心細さと相まって切なくひびく。心細さはときに懐かしさと等しい。「紙の皿」「紙の器」でとる夕餉はたしかにままごとめいているが、心細さという体感が「ままごと」という体験を引き出してもいよう。卓のうえではなく、畳のうえにじかに置いて食事をとる。不安の夜がまた訪れる。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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