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1首鑑賞278/365

音外しつつ楽しげに柞葉の母が歌ひだす夏は来ぬ
   田中薫『土星蝕』

     *

「異郷の母」という一連から。母というのは平井さなえさんのことだろう。一連には「九十歳となる日の卓」とあるので、そういう風景を想像する。唱歌「夏は来ぬ」は佐佐木信綱の作詞。「信綱の著書」のうたの流れからしぜん、掲出の一首にたどりつく。おもうようには音がとれないのだとおもうが、それでも「楽しげ」であり、ながく、折々に口ずさんできたのだろう、なじみのあるメロディがおのずからこぼれてくる。「音外しつつ楽しげに」「歌ひだす夏は来ぬ」の句跨りがうたに変化をつけていて、一首にもメロディがうまれているようだ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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