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1首鑑賞276/365

もう母にお金を借りることもなしわが手に飴を乗せくるる母
   栗木京子『ランプの精』

     *

物入りのとき、保証人が必要なときなど、たよれる母だったのだろう。どうしようもないとき、他の人にはたのみづらいとき、母にだったらたのむことができた。じっさい、お金を借りた。でも、もうそんなこともなくなってしまった。立場がかわったのだ。母もそれなりに年をかさね、どちらかと言えば、わたしのほうが母のことを気にかけるようになった。仕方のないことである。あらがいようもない。それでも、母にとっては子どもは子ども。きっと小さい頃そうしたように、あるいはお金を貸したあのときのように、やさしく飴を手のひらに包ませる。母がしてやれるささやかな行為を、いつくしむようなわたしの眼差しがのこる。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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