FC2ブログ

1首鑑賞273/365

引越しの片付け途中に消えた子がローソンの爪切り提げて戻れり
   平山繁美『手のひらの海』

     *

母子ふたりの生活から子がひとり立ちをする。引越しの片付け、荷造り(あるいは荷解き)をしながら、ふいに爪切りの要ることに気づいてふらっと買いに行ったのだろう。ちょっとしたものであればたいていコンビニにある。爪切りひとつのために出かけて何でもないような顔で戻ってくる。けれどもそのことが「ふたり」ではなく「ひとりとひとり」を突きつけてくる。ふたりでいたころにはそれと気づかないものがたくさんある。あれもこれも必要とおもって買ったから家にあるのだ。こんどはそれを子が、自分でひとつひとつ揃えていく。

今日からは互いに一人子にひとつわたしにひとつ爪切りがある

連作はこうつづいて閉じられる。切ない一場面である。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR