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1首鑑賞267/365

「アレクサ、わたしはだあれ」と夫問へば「他の誰でもないかけがへのない人」と
   米川千嘉子『牡丹の伯母』

     *

「アレクサ」というのは呼びかけると応えてくれる機械で、その「アレクサ」に「わたしはだあれ」と夫が問う。さてどう応えるか。こんな質問でも〈答え〉が用意されていて、何も反応がない、ということはない。その〈答え〉であるが、「他の誰でもないかけがへのない人」というもの。「アレクサ」と夫、どれほどの関係かわからないが、ちょっとしらじらしい。いかにも〈答え〉という感じがする。しかし言われて悪い気もしない。いや、どうかなあ。それを傍からみている、といううたである。

「他の誰でもないかけがへのない人」とAIにささやかれたる夫の眠り
アレクサはわれの持たざる素直さに「ごめんなさい。今はわかりません」と

連作ではこういうふうにうたが続く。「ごめんなさい。今はわかりません」も〈答え〉には違いないが、これは「われ」のほうが一本とられたというか、この「素直さ」にわが身をかえりみることとなった。〈答え〉と〈感情〉をめぐるうたである。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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