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1首鑑賞264/365

棺はこぶ影山さんのくちびるの泣くまいとする力かなしも
   栗木京子『ランプの精』

     *

小高賢氏の亡くなられた折の一連より。多くの歌人がこの雪の日のことをうたにしていて、『平成じぶん歌』などを読んでいると、いくたびもこの日、この場面に出くわす。「泣くまい」としてくちびるをぎゅっと結ぶ。あるいは眉間にぐっと皺を寄せる。いますぐにでも泣いてしまいそうなところを、こらえようとして力をこめるのだ。その「力」が、かえって泣きたいこころを思わせるのだし、また、「泣かないことによって故人へむかおうとする」姿勢をあらわにしているのだとおもう。そしてそれゆえ「かなし」い。

つづく2首を引く。切ない時間である。

雪の日の焼香を終へうたびとの四人は熱き蕎麦をすすりぬ
食べ終へて丸の内線、大江戸線別れゆくときしみじみさびし
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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