FC2ブログ

1首鑑賞261/365

日に一度子が逆立ちをする壁に結露ののちの黴くろく浮く
   栗木京子『ランプの精』

     *

こう書かれると逆立ちの習慣が不気味におもわれてくる。壁にむかって脚をふりあげて逆立ちするのだろう。ひとたびは壁に足をつけるのか、それがあとになって残っている。ただ壁がすれているとか、汚れているとかではない。「結露」がたって、そののち「黴」が生えているのである。そういうこともあろうとわかるのだが、ここにただごとでない感じ、少なくとも「子の逆立ち」を傍から見る人にとってはおだやかでない状況であることが伝わってくる。さらに「日に一度」という潔癖が、ただの習慣ではないことを補強する。なんのために逆立ちをやっているのだろう、と不安になってくる。歯磨きとはわけがちがうのだ。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR