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1首鑑賞259/365

マッサージチェアになだれて落ちゆけば肉体はカクッカクッと泣けり
   桜川冴子『さくらカフェ本日開店』

     *

くたくたの身体をマッサージチェアに投げてゆだねる。「なだれて」「落ちゆけば」とあるので、そうとう限界が近いのだろう。すがるような気持ちもあるか。気晴らしにちょっと座ってみよう、とか、冷やかしでやってみよう、という感じではない。マッサージチェアが動き出す。いくら性能がよくとも、人の手ほど滑らかには動かない。ぎこちなく「カクッカクッ」と動く。それに呼応するように、肉体のほうも「カクッカクッ」と泣くわけだ。身体が悲鳴をあげる、というような慣用句もあるが、まさにそんな感じがただよう。情けなくもありむなしくもある「カクッカクッ」の音が、ながく耳にのこる。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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