FC2ブログ

1首鑑賞254/365

忘れてをれば勝手気ままの庭の木はしらぬ顔にて陽にもみぢせり
   馬場あき子『あさげゆふげ』

     *

庭木の手入れもままならず、ほったらかしになっている。それでも季節がくれば「もみぢ」する(紅葉する)わけで、それならそれでいいじゃないか、という感じだろうか。「勝手気まま」「しらぬ顔」とはいくらかきびしい眼差しだが、安堵がこもるようでもある。「陽にもみぢせり」の「陽に」というのが肝だろう。陽のひかりが「もみぢ」を導くのだし、陽のもとにあってはわたしも庭の木もひとしく存在しているのだ。おたがい「勝手気まま」「しらぬ顔」で、まあそういうものよな、というさっぱりとした態度が秋風にふさわしい。とはいえ「もみぢせり」にはやはり相応の感慨があるものとおもう。「もみぢ」こそが庭の木に目を向けさせたのだろうから。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR