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1首鑑賞252/365

またいつか来てとおまけのスタンプをくれてカードが満点になる
   山階基『風にあたる』

     *

引っ越しや転職で、もうしばらくは使うことのない店だろう。そういう話もして、うすうすは、これっきりとわかりながら、「またいつか来て」と言っては店員さんが「おまけのスタンプ」を押してくれるのである。店のスタンプカードで、たまるとクーポンになる、という類いのものとおもう。これまでよく通い、顔なじみで、生活のこと、趣味のこと、いろいろ話もしたのだろうとも想像される。たまったスタンプが、通った証である。そういうこともあって、結句「満点になる」からは高揚感と華やぎが感じられる。でも、それがいかにもお別れのようで、かなしい。来ないだろう「いつか」のための「おまけ」、完成されてしまったカード。完璧な思い出が、別れの象徴のように輝きつづけている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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