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1首鑑賞251/365

菜の花を食べて胸から花の咲くようにすなおな身体だったら
   山階基『風にあたる』

     *

小さいころよくスイカのたねを食べると臍からスイカの芽が出てくるよ、とか、お腹のなかでスイカが育って苦しくなるよ、とか脅されたものだった。つまり、このうたで言うところの「菜の花を食べて胸から花の咲く」状況はよくないもの、こわいもの、あってはならないものとしてイメージされていた。しかしここでは、「すなおな」と形容されるように、肯定的なニュアンスをおびて、えがかれている。ここにひとつの価値観の逆転がある。読んではっとした。そうだよね、自然なことだよね、とおもった。そんなふうに「すなおな」身体だったら、とこぼすこの人は、自身のからだを「すなお」ではないと感じている。自然にはゆかない、おもいとおこないがずれてしまう、ある葛藤が、ここにあらわれている。なめらかに進行する1首の流れは、この葛藤ににじむあきらめをも1首に宿しているようにおもう。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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