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1首鑑賞247/365

なれるなら夏のはじめの夜の風きみのきれいな髪をかわかす
   山階基『風にあたる』

     *

なれるなら、と言ってささやかな希望が、しかしついにはかなわない切なさがやさしく伝う。ついには、というよりも、はなから、かなわないことがわかっていて、それでも、なれるなら、と発声されている、そうおもわれるほど、やさしくかなしいうたい口だ。きみのきれいな髪がぬれて光っている。その髪のあわいを抜けて風がゆく。軽くなっていく髪。ながれていく時間。夏の夜のきみの、いっときのその姿をずっと見ていられる。なれるなら、という声が口にのぼるときの、おさえようのない眼差しをおもう。
強調文
   『』

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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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