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1首鑑賞237/365

お母さんひとりで豆撒きしたんだねスリッパを履けば豆が潰れる
   桜川冴子『さくらカフェ本日開店』

     *

母の暮らすひとりの家をたずね、スリッパのなかに豆を踏み当てる。切ない一場面だ。「お母さんひとりで豆撒きしたんだね」とはじっさいに声になったかどうか。このやさしくさみしい感触は、きっと胸のうちにおさめられたままだったのだろうとおもう。玄関から家にあがるときスリッパを履いた。なにか違和感がある。スリッパを脱いで確かめてみる。潰れて欠片にわかれた豆がひとつぶ。母がひとりで豆撒きをしたのだとおもいいたる。噫。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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