2019/08/25
1首鑑賞235/365
少年の横顔へ射す夕影よもうすぐ失ふなめらかな喉森ひなこ『夏歌ふ者』
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少年のなめらかな喉を照らし出すように夕影(=夕日の光)が射している。思春期を経て、どのくらいの場合そうなるのか、程度の差もありつつやがて喉仏(喉頭隆起)が目立つようになっていく。それを、なめらかな喉を「失ふ」としたところに、この人の視線がある。戻ることのない少年としての姿を、諦観をこめて愛おしむ。詠嘆の「よ」が喉ではなく夕影についているところが印象的だ。喪失の予兆をあざやかに映し出す残酷にこそ、この人の眼差しは向けられているのかもしれない。
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