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1首鑑賞227/365

角瓶の胸のあたりにウィスキー揺れをり朝の地震ののちを
   栗木京子『ランプの精』

     *

角瓶(サントリー)を開けてまだそんなに日が経たないのか、ひとのからだに見立てたときの「胸のあたり」までウイスキーが残っている。それが「朝の地震」で揺れて、「地震ののち」もまだゆらゆら揺れている。地震のあいだ、自分もいっしょに揺すられているときにはそれほど気にならない。おおかたのものが静まったのちに、電灯の紐などといっしょにわずかに揺れているのが視界にはいる。静かに揺れている。不穏だ。ウイスキーであるから、波のような揺れ方をする。海のことがおもわれる。どこが震源か。どんな規模か。いろいろ想像する。ウイスキーを胃におくったとき、そこから広がるように沁みていき、からだがほのかにあたたかくなっていく。そのように、「胸のあたり」がざわつく。〈わたし〉の比喩のように、地震ののちを、かたい瓶のなかで、ウイスキーが揺れている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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