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1首鑑賞221/365

「昔は」と言ふたびわれを戒むる娘はむかしわれが産みたり
   小島ゆかり『六六魚』

     *

小島ゆかりのうたには折々に「昔」「むかし」の語が出てくる。うたでなくとも、日常の会話のなかに「昔は」こうだったとか、「昔は」こういうことがあったとか、そういうふうに「昔」「むかし」のことばが口からこぼれるて出るのだろう。それを「ほらまた」と言って戒める娘であるが、言われてしかし、とわたしは立ち止まる。そうはいうけれど、あなたは「むかし」わたしが産んだんだよ、と。かならずしも反論にはなっていないし、戒められて納得もするのだろうが、けれども、とわたしは言いたくなるのだ。昔は……とあえて言い続ける矜持(と言ってはおおげさかもしれないが、おもうところ)がにじんでいる。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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