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1首鑑賞216/365

素脚より秋に入りつつ風またぐやうにひつそり落蟬またぐ
   小島ゆかり『六六魚』

     *

あと二三日すれば立秋である。夏の盛りだが、日は少しずつ短くなっている。じきに夕どきの風に秋のつめたさがまじりはじめるだろう。けさ、今年はじめて落蟬をまたいだ。慌てていて振り返る余裕なく過ぎ去ったが、仰向けにころがる蟬をまたぎつつ、やはりぎょっとする。掲出のうたは「ひつそり」またぐ、それも「風またぐやうにひつそり」である。畏怖とはべつに、ある種類の余裕を感じる。夏のたかぶりの、いくらか冷めたような感触があるのだ。それが秋の気配というものか。「素脚より」という初句がただちに視線を脚に向けさせて場面鮮明な1首である。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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