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1首鑑賞204/365

降りきつて消えるタイプの雨雲を見てゐた窓に腕をあづけて
   藪内亮輔『海蛇と珊瑚』

     *

空全体に雲がかかって曇りがながく続くような雨がある。その一方で、降るだけ降ったらなにごともなかったかのように青空を見せる雨がある。前者の雨であれば、「窓に腕をあづけて」眺めているその光景は、ぼんやり、ということばがにあう。後者はどうか。ぼんやり、というよりは凝視という感じがする。圧力がある。ここで見ているのは「降りきつて消えるタイプの雨雲」。それは降りかたや雲の具合からそう想像するわけだが、どこかあらかじめ確信がある。その確信が、雨雲を見つめさせり。「見てゐた」にふくまれる時間は一瞬よりは長い。しかしそう長くはない。雨や雲にも肉体のようなものが宿っている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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