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1首鑑賞202/365

なかゆびを立ててゆき降る窓をみるそのやうに愛してゐた何もかも
   藪内亮輔『海蛇と珊瑚』

     *

なかゆびを立てる仕草は、死ねとか殺すぞとかいう心持ちにふさう。それが「ゆき降る窓」への眼差しを複雑なものにしている。いや、もとより単純なことなどないのだが、眼差しにこもる憎悪、憧憬、軽蔑、あるいは、渇望が、ちらちらと降る雪のように浮かんでは消え、消えては浮かぶ。そこにひとつの対象がある。いろいろのすがたを見せ、またわたしの目がそのつどとらえてきたひとつの対象が。そしてその、「何もかも」を「愛してゐた」。その記憶。「愛してゐた」ということが、窓のむこうで薄らいでいく。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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