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1首鑑賞198/365

夕立に子供がはしゃぐ 世界とは呼べないなにかが輝いている
   宇都宮敦『ピクニック』

     *

ここ数日、夕方に雨が降り出してひどくなることが続いている。滝のようなと言ってもいいし、バケツをひっくり返したようなと言ってもいい。ありふれた形容の似合う、雷をともなった集中した雨の降り方だった。けれどもそれは、夕立とはちがう(昼間はどんより曇っていた)。昼、いかにも晴れていて入道雲が湧き、夕方ざっと降ってまたすぐに晴れる。そういう降り方の雨を夕立という。小学生のころ、よくソフトボールの練習が夕立のために中止になった。

ここでの「子供」は小学生なら低学年、あるいはもっと年少の子供を想像する。いまのいままで晴れていたのだから夕立は不思議な降り方をする。雨の勢い。陽にひかりをかえす雫。はねる雫。たちまちびちゃびちゃになる路面。世界と世界がまじりあうような光景が、眼前にひろがる。

「世界とは呼べないなにか」とは、そのまじりあい、そのなかにはしゃぐ子供、それら全体を指しているのだとおもう。なんだかよくわからないが、「輝いている」。1首にあるのは、そのように「世界とは呼べないなにか」をまぶしくおもうひとつの視線だ。それさえも含んだなにか輝きを、読者のわたしは受け取った。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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