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1首鑑賞196/365

ボストンバッグをリュックサックのように背負い小学生がプールに走る
   宇都宮敦『ピクニック』

     *

中学生や高校生が学校指定の手提げ鞄をリュックサックのように背負うのが流行りだしたのはいつ頃だったか。今ではわりとふつうの光景になってしまった。カゴのついていない自転車が浸透しだしたのと関係がありそうな気がする。

ボストンバッグ、と言われて思い浮かべるのは旅行用の手提げ鞄で、キャリーバッグ(トロリーバッグ、キャリーケース、スーツケース、コロコロ)が浸透するまでは、修学旅行も宿泊研修もボストンバッグだった。ボストン大学の学生が愛用していたことからそう呼ばれるらしい。ふだんづかいにしては大きい。

プールの授業は小学生のあいだだけだったが(中学にはプールがなく、高校のプールは壊れていた)、水着とバスタオルを入れるための専用の袋があって、みんな同じものを使っていた。だから1首からは夏休みをおもう。背丈(どのくらいかはわからないけれど)や用途に対して不釣り合いなボストンバッグがゆさゆさ揺れている。少年が走る(プールじゃなくても少年はよく走る。なんでだろう)。リュックサックのように背負うのは、年上のひとの真似をしているようで、たのしい。いい光景だなあとおもう。

字数をかぞえると上の句が22字で、下の句が10字。視覚の妙もあってか、鞄の大きさをもてあました少年の姿と、プールめざして走る集中、没入が、1首のなかに新鮮によみがえってくる。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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