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1首鑑賞192/365

川風にこぼれてゆける萩の花まだ定まらぬ秋のかたちは
   梶原さい子『リアス/椿』

     *

ほんの数日前に蟬が啼きはじめて、はじめ細々と啼いていたのがずいぶん太くなってきた。それでもまだ、どこへ行っても聞けるわけでなく、また、その音も夕方はやいうちに絶えてしまう。もう少しすれば、うるさいくらいになるだろう。いよいよ夏という感じがする。

掲出のうたを読む。「萩の花」がほろほろと風にこぼれる光景がほんのりと「秋のかたち」を伝えてくる。それは「まだ定まらぬ」のだが、じきに、いかにも秋という感じになってくる。そのひとつ手前の、季節のすがたを映している。もっとも、「秋のかたち」には「生活のかたち」も含まれているのだろう。季節はめぐってきても、ひとの生活というのは何かをきっかけに去年とは同じようにいかなくなるもので、そういう含みが、一首の眼差しを深くしているようにおもう。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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