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1首鑑賞187/365

お砂糖がベッドのうえへ降り積もるゴメン、地球にかえれないかも
   安井高志『サトゥルヌス菓子店』

     *

「お砂糖がベッドのうえへ降り積もる」という状況があって、ひとつには「それゆえ」地球にかえれないかも、という気持ちが起こったと読める。このままでは地球に帰れない、と。しかしもうひとつ、「そういう状況にあって(とくに因果はないが)」地球にかえれないかもという予感が起こってきた、という読みも考えられる。斎藤茂吉でいうところの、「上海」と「鳳仙花」のような距離感だ(たたかひは上海に起り居たりけり鳳仙花紅く散りゐたりけり『赤光』)。いずれにしても差し挟まれた「ゴメン」がいかにも唐突で、因果のありなしを思わせない。つまり、とっさに、「地球にかえれないかも」という気持ちが起こったのだし、それに先がけて「ゴメン」ということばが出てきたのだ。「地球にかえれないかも」という予感が、しかしどうすることもできず、ベッドのうえに砂糖をこぼしつづける。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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