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1首鑑賞185/365

夜よりも憧れふかく憂うつより眠りはふかく 飲むのよ 水を
   安井高志『サトゥルヌス菓子店』

     *

歌集ではひとつ前に

痛みさえいとしい桜 病室に息がちぎれてしまう今夜は

といううたがあって、病室の夜を想像する。「痛み」に「いとしい」「桜」を対置させていく、「夜」に「憧れ」を対置させていく視線に照らして言えば、ここでの「眠り」はわりあい明るいものだ。「夜」や「憂うつ」ではなく「憧れ」や「眠り」や「水」を希求する。「息がちぎれてしま」いそうな夜に、憂うつの離れない病床に、遠い憧れを、ふかい眠りを、うるおいの水を、希(こいねが)う。倒置された「水を」がいかにも目的語で、ここに、まっすぐなおもいがこもっている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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