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1首鑑賞184/365

雨といふにも胴体のやうなものがありぬたりぬたりと庭を過ぎゆく
   藪内亮輔『海蛇と珊瑚』

     *

このうたを読むとき、いつも思い浮かべるものがある。映画「千と千尋の神隠し」に出てくる「カオナシ」というキャラクターだ。たしか雨のなかをぬーっと突っ立っているシーンがはじめのほうにあって、正確にはその光景を思い出すのだが、あの感じで「胴体のやうなもの」をイメージする。それもあってか、「雨とふにも」というとき、ひとすじひとすじ(あるいは、ひとつぶひとつぶ)の雨ではなくて、あの降っている雨の総体を想像する。

風の具合や粒の大きさ、光のあたり方などによって、雨が立体的に見えることがある。ふだん、しずかに均一に降っているときには絵画的、平面的に見えるものだが、そうでない、まさに「胴体のやうなもの」を見ることがある。降り出すとき、また降り止むときにもそれを感じる。動きは鈍い。「ぬたりぬたり」だ。そんな雨の動きを見るたびに、おもいだして呟く1首である。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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