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1首鑑賞183/365

布団そのものが眠りているような完全な冬われは好きなり
   永田紅『春の顕微鏡』

     *

すこしまえに、

寒いのか寒くないのか布団より手を出してみる立春の朝
   馬場あき子『あさげゆふげ』

といううたを引いて書いたが、どこかひとつながりの感じがする。「立春の朝」に対して掲出のうたは「完全な冬」。春の気配がわずかに感じられはじめるころが立春で、中と外をへだてる境界としての布団も、すこしずつその輪郭をあわくしていく。対して「完全な冬」というのには境界としての布団がきっぱりとあり、布団にこもるわたしだけでなく布団そのものも眠っている(冬眠?)ような感触がある。「われは好きなり」と率直にしめされた愛着もまた、きっぱりとしていて「完全」を際立たせているようだ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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